ホグレルを活用する車いす陸上マラソン、洞ノ上浩太(ほきのうえこうた)選手と荻原孝俊トレーナーのお二人の対談です!選手目線とそれを支えるトレーナーの心境が、当日の東京マラソンの状況をより鮮明に映し出します!
左:洞ノ上浩太選手 右:荻原孝俊トレーナー

左:洞ノ上浩太選手 右:荻原孝俊トレーナー

洞ノ上浩太 選手

2002年に車いすマラソンを始める。
2008年、北京パラリンピックの500mで日本人初のファイナリストとなり5位入賞。フルマラソンでは、北京、ロンドンと2大会連続での入賞。
2010年1月、10000mで日本記録を樹立。
2010年6月、自身の持つ日本記録を更新するとともに、5000mでも日本記録を樹立。2011年6月、オンシンゲンマラソン(スイス)にてフルマラソンの日本記録を樹立。
この他にも、多くの大会で優勝するなど、世界で活躍している。
東京マラソン後は4月18日、ボストンマラソン13位。
4月24日 ロンドンマラソン8位
4月30日 ソウルマラソン5位、7月 釧路ハーフマラソン出場予定
8月 北海道ハーフマラソン出場予定であり、
リオデジャネイロパラリンピックへ向けてトレーニングに励んでいる。



 

普段のトレーニングから動きのチェックやタイム計測などの確認を一緒に行う

普段のトレーニングから動きのチェックやタイム計測などの確認を一緒に行う

 ―――パラリンピックへの出場権


 パラリンピックへの切符を手にするには、日本代表選考レースである、大分国際車いすマラソン大会(以下:大分国際)、東京マラソン2016(以下:東京マラソン、東京)、マラソンワールドカップ(以下:ロンドン)での結果が求められる。条件は3つ。“総合3位以内、日本人1位、1時間2830秒以内”である。各大会で該当者がいない場合、もしくは一人かけた場合は、IPC(国際パラリンピック委員会)ランキングの日本人選手上位3名が選出される仕組みとなっている。

 大分国際前にはIPCランキング日本人3位であった洞ノ上選手だが、様々なトラブルに見舞われ、大分国際で納得のいく結果を残すことが出来なかった。その結果、日本人選手4番目となり、リオへの切符は東京マラソンにかけることとなった。それは、過去にないプレッシャーの中での戦いであったと語ってくれた。

 

―――東京マラソンまで ~気持ちと身体~


4番目になると選考は厳しくなるのでしょうか?

洞ノ上:このまま何もしなければ、パラリンピックに行くことが出来ないという状況です。いままでは日本人上位3位以内に入っていることが多かったので、比較的余裕のある選考期間、1年半を過ごしていた…ということにその時初めて気付いたんです。IPCランキング日本人3位以内から外れた…ということから、“結果を出さないとパラリンピックに行けない”と思うようになり、それは凄いプレッシャーになりました。でも、4位になったという事実が、そこからが東京に向けての始まりというか、自分の中でも気持ちが入った瞬間になりました。冬場もずっとトレーニングをしていて、1月にオーストラリアに行きスピード強化。その後、石垣島で合宿を行いました。その時は手首を痛めていて精神的にも辛い状態でしたが、結果的に9日間の石垣島合宿はスムーズにメニューもこなすことができました。日に日に調子も上げていくことが出来て、「ギリギリ東京マラソンに間に合った!」という感じでした。



■荻原トレーナーは洞ノ上選手の状態をどうみていましたか?

荻原:洞ノ上選手に言われてマッサージをするぐらいはしましたが、痛みについては病院の先生にお任せしていました。トレーニングの時は動きを見るばかりです。良いか悪いか。個人的に考えていることは、洞ノ上選手は距離を出したほうが動きが研ぎ澄まされる感じがあるということ。石垣島の時も午前中は40km程走り、午後はトラック。スピード系のトレーニングを行い、後ろについて見ていても動きが良い感じになってきているとわかりました。

 


■良い時の動きはどこを見て判断するのですか?

荻原:腹筋・背筋でバンバンと上体を動かすのではなく、身体全部・背骨を使って滑らかに曲線的に動くところを見ています。

 

洞ノ上:あまりわからないですね(笑)。昔は股関節を軸に、上半身をあおるように動かしていました。自分は腕が短いので、上半身も腕の一部と考え、そこから動かして出力を高めていこうと考えていました。最近では、もう少し背中の動きを意識して、骨盤、背中、肩甲骨、肩、腕、という感じで、波打つような動きをイメージしています。(荻原トレーナーには)「今、良いですよ!」とか「今は動いていないですよ…。」と言われ、最初はよくわかりませんでした。自分自身は変化がわからないんです。腕だったら見える範囲でなんとなくわかるんですけど、背中は大きくて分厚く、ほんのちょっとの動きというのがなかなかわからないんです。やっぱり4年前からずっと見てもらっていて身に付いてきているので、本当に有り難いことです。

 

荻原:途中から自分が「良いですよ!」と言うタイミングと、洞ノ上選手の「感覚が良い」が合ってきました。

 

洞ノ上:最初はわからなかったですけどね…。最初の頃は「今ので良いんですか!?」とか「今のがダメなんですか!?」という感じでした(笑)。そんなこと言われても、本当にわからなかったんです。その時期はだいぶありましたけど、今では自分なりに動けていることが、よくわかるようになってきました。



―――東京マラソンの裏側


■その積み重ねが東京マラソン時の良いコンディションだったんですね。

荻原:東京マラソン時、本当に調子が良く、良い動きをしていました。

 

洞ノ上:自分もわかりました。自分でもわかるぐらいなので、本当に良かったんでしょうね。それは今までに無いような感覚でした。ピッチも上がりますし、ドンッドンッドンッと力も伝わっていました。そういう感覚がありました。ただ今日みたい(取材当日)に、コンディションが悪いとすごく重い(笑)。ピッチも上がらないし、力も伝わらない。レースに向けてじわりじわり、故障しないように上げていきます(笑)。

 

■東京マラソンのレース中もいい感覚がわかりましたか?

洞ノ上:「これはいける!」と思えるほど身体も軽かったです。もしこれで他の選手が上げてきたら、それは仕方が無い事だと思いました。これだけベストな状態に持ってきたのだから、これで負けたらしょうがないという気持ちです。後はレースは相手がいる勝負なので、ペースなどは実際に走ってみてからその中で組み立てていこうと考えていました。


―――リオへ向けて


洞ノ上:(リオまで)本当に楽しみです。おかげさまで東京で決まったからこそ、計画が立てられる。他の選手はロンドンがあるので、まだ必死です。リオを考える前に目の前のレースがある。自分も、大分国際で決まっていたとしても、リオデジャネイロパラリンピックまで準備期間が長く、東京マラソンまでの期間も無駄に過ごしていたかもしれません。調整は指導者がいないとなかなか難しいです。オリンピックだと出場が決まった後は、本番までしっかりトレーニングを積むことが出来ますが、パラリンピックの選手は指導者が十分にいません。オリンピックと同じようなスケジュールでいくと、そういう落とし穴があると思います。ただ時間だけがあって、準備が意外と出来ていない…。結果論ですけど、自分は東京で決まり、大分国際で決まらなくて良かったのかもしれません。大分国際で決まっていたら、きっと石垣島合宿をしていませんでした。それなりに、そこそこのトレーニングして終わっていたと思います。あのプレッシャーはきつかったですけど、自分が成長できる良いきっかけになったと思います。そういう意味では、次に出場するロンドンも選考ではありませんが、そこでしっかりと順位を取りに行くレースをしに行きます。リオを前に世界の選手と戦える大会として、最後のチャンスだと思っています。そういう位置づけて臨みたいと思います。

 

 

 リオでの金メダル獲得には、自分に合ったレース展開が出来るかが重要。勝ちにいくことを考えると、東京マラソンのようなイメージを持ちつつ、冷静に走る方法もしっかり考えていかなくてはいけない。レース中の駆け引きもその時によって変わるため、42.195kmしかないという感覚で臨みたい。そこで勝機が見えてくると思っている。そのために、リオまで荻原トレーナーに相談しながら調整していきたい。」と、リオまでの意気込みをお話しいただきました。

 

車いす陸上マラソン日本代表洞ノ上選手、リオデジャネイロパラリンピックでもどうぞご注目下さい!!

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