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これを知らないと筋肉痛は早く治らない?
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痛み
2022.04.01
筋力トレーニングをする人にとって、筋肉痛は「筋肥大するために必要なもの」という認識がありますよね。
トレーニングの翌日以降にくる筋肉痛は辛いものである反面、達成感みたいなものも感じるのではないでしょうか。
でも実は、最近の有力な研究では「筋肉痛の程度と筋トレの効果はあまり関係がない」といわれるようになっています。
今回は、そんな「筋肉痛」について見ていきましょう。
目次
そもそも筋肉痛とは何か
筋肉痛は運動などによって起こる筋肉の痛みです。
筋肉痛の種類には、運動中や直後に起こる「即発性筋痛(急性筋痛)」と、運動後数時間〜数日で起こる「遅発性筋痛」の2種類があります。
一般的に筋肉痛と呼ばれるものは遅発性筋痛のことを指しますが、この遅発性筋痛が起きる原因としては筋繊維の損傷による炎症なのではないかと言われています。
※昔は「乳酸」が筋肉痛の原因であると言われていましたが、現在では否定されています。
実は筋肥大とは関係がない?
さて、冒頭でも書いた「筋肉痛の程度と筋トレの効果はあまり関係がない」という話についてです。
こちらの論文によると、「筋トレ後の筋肉痛発生に伴うタンパク質合成量増加は見られたものの、筋肉痛がとれた後の筋肥大には関係しなかった」という結果が出ています。
この研究は、南米のサンパウロ大学が10名の健康な男性(平均27歳)に対して週2回のトレーニング(両側45度レッグプレス運動と脚伸展)を10週間にわたって続けてもらい筋肉痛と筋肥大の関係を調べたもので、直近の研究では有力なものです。
筋肉痛が筋肥大に関係しなかっただけでなく、筋肉痛によりトレーニングの質が低下してしまうことも指摘していますので、筋肉痛=筋肥大には必要という考えは誤りであるという結論になります。
筋肉痛を緩和させるのに効果的なこと
筋肉痛が筋肥大に関係しないとは言っても、筋力アップを狙ったトレーニングではどうしても筋肉痛は起きてしまいます。
そうであるならば、筋肉痛の程度をできるだけ軽くして早く治るような取り組みをしていくことが大切になってきます。
ポワティエ大学が99個の論文をもとに行ったメタ分析では、
・アクティブレスト(軽い運動)
・冷水浴
・マッサージ
・着圧ウェア
・電気刺激
・静的ストレッチ
・交代浴
・凍結療法
の8つの方法のうち、どれが一番筋肉痛を緩和する効果があるのかを調べています。
この研究によると、もっとも効果があったのが「マッサージ」で、逆に効果があまりなかったのが意外にも「静的ストレッチ」でした。
筋肉痛緩和の効果上位
1.マッサージ
2.アクティブレスト(軽い運動。運動後6時間以内までが特に有効)
3.着圧ウェア
上位と比べると筋肉痛緩和の効果が少なかったもの
・静的ストレッチ
・電気刺激
マッサージは運動後6時間、24時間、48時間のいずれに行っても他の方法と比べて筋肉痛軽減の効果がありますので、ぜひ取り入れて見てください。
なお、静的ストレッチは「筋肉痛には」効果があまりなかったのであって、柔軟性や可動域の改善という目的であれば無意味ではありませんので、ご安心ください。
筋肉痛緩和に役立つ食べ物
コーヒーなどに含まれる「カフェイン」が筋肉痛を緩和させる効果があることが分かっています。
アメリカ合衆国のアーカンソー大学が2017年に発表した研究によると、自転車運動で筋肉痛になった30人の成人男性を2グループに分けて「カフェインを摂取したグループとブラセポのグループ」で比較したところカフェインを摂取したグループは筋肉痛が10%程度軽減したとのことです。
北海道教育大学の研究でも同様に、カフェインが筋肉痛を緩和させるという研究結果を出しています。
トレーニング後の筋肉痛を軽くしたいのであれば、カフェインを摂ることは有効だと言えます。
もちろん、カフェインだけを摂れば良いのではなく、筋肉の修復のためには日頃からバランスの良い栄養を摂取できていることが前提条件です。
まとめ
今回は、筋肉痛と筋肥大との関係について見てみました。
まとめると、以下の通りです。
①筋肉痛には「即発性筋痛」と「遅発性筋痛」の2種類があり、一般的に言われる筋肉痛は運動後数時間〜数日後に生じる「遅発性筋痛」のことを指す。昔は乳酸が筋肉痛の原因と言われていたが、現在では否定されている
②ある研究によると、筋トレ後の筋肉痛発生に伴うタンパク質合成量増加は見られたものの筋肉痛がとれた後の筋肥大には関係しなかったことから、「筋肉痛=筋肥大に効果的」では無い。
③筋肉痛緩和で特に効果が大きいのは「マッサージ」で、筋肉痛緩和にはそれほど効果が無いのは「静的ストレッチ」。カフェインが筋肉痛を軽減させる効果がある
筋肉痛に関しては日々研究が進められており、以前は常識とされていたことが現在では否定されていることも多々あります。
今後も新しい発見があることが考えられますので、常に新しい情報を拾って自分で取捨選択していく姿勢が大切ですね。